スルーパス
するーぱす
スルーパスは、サッカーにおいて相手ディフェンスラインの背後、すなわち「ディフェンスの裏」のスペースに味方選手を走らせるために出すパスである。「through(貫通する)」という言葉が示すように、相手の守備組織を貫くように通すパスであり、攻撃において最も効果的な崩しの手段の一つとされている。スルーパスの成功には、相手ディフェンスラインの動きを読む洞察力、味方の走り出すタイミングとスピードを予測する判断力、そしてオフサイドにならないギリギリのタイミングでパスを出す技術が必要である。グラウンダーのスルーパスは精度が高く、受け手がそのままドリブルで持ち込めるが、浮き球のスルーパスはディフェンダーの頭上を越えてより深いエリアに送ることができる。歴史的に、アンドレス・イニエスタ、フランク・ランパード、アンドレア・ピルロなどの中盤の名手たちは、緻密なスルーパスで相手守備を崩してきた。オフサイドトラップを敷く相手に対しては、ディフェンスラインが上がる瞬間を見極めてパスを出すことが重要である。現代サッカーでは、コンパクトな守備組織を崩す手段として、また速攻時の決定的なチャンス創出の手段として、スルーパスの価値はますます高まっている。